マルチスレッド計算機の設計を行うにあたって、命令レベル並列処理によって利用できる応用プログラムの並列度を詳細に調べる必要がある。ス-パスカラ計算機では4レベルの分岐命令を投機的に実行した場合、応用プログラムから抽出できる並列度の上限は約2である。しかし最新の投機的実行技術を用いることにより、並列度の上限を大きく改善できることを予想し、評価を行った。 評価にはトレース駆動型シミュレーションを使用し、プログラム並列度を測定した。使用したプログラムはSPEC95ベンチマークの6つの整数演算プログラムと9つの浮動小数点演算プログラムである。結果をまとめると、どのプログラムでも15レベルの分岐命令の投機的実行を行うことで並列度の上限5.08に対し91%の並列度を獲得できた。各プログラムにおいて並列度は1.66〜17.67の範囲となり、プロセッサ内の命令レベル並列処理を大幅に拡張するマルチスレッド計算機の将来性が示された。
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