地盤と建物の連成効果を考慮に入れた地震荷重の提案

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07458082
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 南 忠夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10012923)
• 研究分担者: 境 有紀 東京大学, 地震研究所, 助手 (10235129) ; 工藤 一嘉 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50012935)
• キーワード: 建物・地盤連成系 / 学校建築 / 動的地盤バネ / 等価せん断波速度 / スウエー・ロッキングモデル / 応答スペクトル

研究概要

前年度に神戸、西宮地区で行った学校建築約30棟の常時微動観測記録についてフーリエスペクトルを計算し、これより地盤建物連成系ならびに建物のみの固有周期を読み取った。2種類の固有周期を用いて、半無限体上の円形基礎の動的地盤バネに関する多治見の式に現われる地盤のせん断波速度を算定した。他方、校舎の建設時に行われた標準貫入試験のN値から見かけ上等価なせん断波速度を求め、常時微動測定で得られたものと比較したところ両者の間には良い相関が認められた。すなわち、標準貫入試験の結果さえ入手できれば、簡単な式を使って地盤の等価なバネ定数を推定できることが分かった。
この地盤バネを用いて1995年兵庫県南部地震における神戸海洋気象台の記録に対して1質点のスウエー・ロッキングモデルの地震応答スペクトルを計算したところ、5-10階建ての建物に相当する周期範囲に極大値が現われ、7、8階前後の建物に大きな被害が生じた兵庫県南部地震の被災状況と調和的な解析結果を得た。なお、相互作用の効果を無視した基礎固定の解析では5階以下の低層建物の応答が大きくなり、被害状況をうまく説明できない。
今後はより多くの強震記録に対して建物・地盤連成系の地震応答解析を行うとともに、手計算でも簡単に求められる実用的な解析手順を定式化する計画である。

研究成果

• [文献書誌] Minami,T.: "Extremely Large Potential Destructiveness of the Accelerograms Measured during the 1995 Kobe Earthquake,Japan" Proc.11th World World Conf.Earthq.Eng.,Acapulco,Mexico,June 1996. (1996)
• [文献書誌] Minami,T.: "Evaluation of Near Field Strong Motion Fourier Spectra Based on the ω-2 Model and Source Model" Proc.11th World World Conf.Earthq.Eng.,Acapulco,Mexico,June 1996. (1996)
• [文献書誌] 梅村恒、南忠夫、境有紀: "学校建築の常時微動に関する研究(その2)阪神地域の学校建築の相互作用について" 日本建築学会大会梗概集、建造B-2、1996年9月. 411-412 (1996)
• [文献書誌] 境有紀、南忠夫: "1995年兵庫県南部地震による地震動の破壊力" 日本建築学会大会梗概集、建造B-2、1996年9月. 199-200 (1996)
• [文献書誌] Sakai,Y.: "Destructive Power of Strong Ground Motions with High Ground Acceleration" Proc.11th World World Conf.Earthq.Eng.,Acapulco,Mexico,June 1996. (1996)