研究概要 |
都市総合防災システムをさらに一般化して提案することを目的として,その問題点を検討した.すなわち,自然災害の危機管理においては,ハードウエア,ソフトウエア,ヒューマンウエア,コマンドウエアの4つに分類し,災害前をリスクマネージメント,災害後をクライシスマネージメントとすれば,必要な施策が分類できることを見いだした.さらに,実際の適用においては,時系列的に再整理し,即時,緊急,応急,復旧,復興対策とすればよいことを明らかにした.都市防災システムについては,構造物・建築物の破壊というような物理的課題と救命・救援とういうような社会的課題が約100存在し,それらに対処するには情報の処理が鍵を握っていることを示した.とくに防災地理情報システムの開発が重要な課題であり,まず地形や地質というような自然条件と人口や世帯構成などの社会条件についてのデータベースの構築が専攻するべきことを提案した.そして,現行の米国に連邦政府危機管理庁(Federal Emergency Management Agency,略称FEMA)における危機管理方法の変遷における時代的背景,思想及び適用に当たっての注意点を資料解析から明らかにし,わが国へ適用するに際しての検討すべき事項を整理した.その結果,わが国の地方自治体における災害対策本部の構成のように,日常業務の縦割をそのまま適用した組織では,相互に関連する事項を円滑に処理できず,むしろ事項対応的な組織構成が必要なことと,相互に調整する機能が必須であることを示した.
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