研究概要 |
本研究の目的は,rfからVHF帯にわたる広い周波数範囲(5〜150MHz)で放電周波数を変化させて高周波微粒子プラズマ中の微粒子とプラズマの相互作用の放電周波数依存性を明らかにするとともに,その背後にある物理を理解することである.今年度は,放電電力一定の条件下で放電周波数を3.5〜28MHzの範囲で変化して,シランガスを用いて高周波プラズマを発生し,以下の成果を得た. 1)放電周波数の増加とともに電子密度が増加し,その結果,微粒子は早く発生し,微粒子密度は高くなる. 2)放電周波数を減少すると,放電電圧,自己バイアス電圧が増加する.これに伴い,熱運動による凝集より2桁速い微粒子間の高速凝集が生じる. 3)微粒子が存在する高周波電極側のプラズマ/シース境界領域では,負帯電微粒子のみならず,高速電子数が多い場合には正帯電微粒子が共存するようになり,正負帯電微粒子間の凝集が2)の結果をもたらした可能性がある. 上記のように,高速電子の存在が微粒子の帯電状態の変化をもたらし,微粒子の成長過程に大きな影響を与えることを示唆する新しい結果が得られており,当初の計画通り研究は順調に進んでいる.今後は,上記の現象をより定量的に理解するために,高速電子を実際に計測するとともに,来年度にVHF帯でのプラズマ-微粒子間相互作用を調べる予定である.
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