研究概要 |
核融合反応中性子に対するデータが極めて不足欠落している3〜5MeVのエネルギー領域に対する中性子放射化断面積のデータベース構築に関する実験的研究のために、3〜5MeV領域単色エネルギー中性子源の開発、高効率井戸型Ge検出器の特性の把握、放射化断面積測定を行った。 1.単色中性子発生にはd-D反応を利用した。内径8mm、長さ29mmのガスセルにD_2ガスを充填したターゲットに1〜2MeVのd^+イオンビームを導入して、3〜5MeVの単色中性子を発生させた。発生した中性子束は1.6気圧のD_2ガスターゲットを1μAのd^+イオンビームで照射して、ターゲットから5cmの位置で約5×10^5n/cm^2・sが得られた。3〜5MeVエネルギーのd-D反応中性子を用いて^<64>Zn(n,p)^<64>Cuの断面積を得た。 井戸型Ge検出器の高検出効率を活かすことによって、これまで断面積が小さく測定値が全くなかった14MeV付近のエネルギー領域の^<163>Dy(n,np)^<162>Tb、^<179>Hf(n,np)^<178m>Lu、^<180>Hf(n,p)^<180>Lu反応断面積について初めて値を得ることが出来た。 本研究により開発された中性子源および高効率井戸型Ge検出器を用いて測定を進めていくことにより、これまで不十分なデータしかなかった3〜5MeVおよび14MeV付近のエネルギー領域でも1mb以下になると全くデータのなかった反応についての放射化断面積のデータを系統的に得られることが分かった。
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