研究課題/領域番号 |
07458106
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中戸 義禮 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70029502)
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研究分担者 |
八重 真治 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (00239716)
小林 光 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90195800)
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キーワード | 太陽電池 / 多結晶シリコン薄膜 / 電解析出 / 溶融塩 / 常温溶融塩 / ポーラスシリコン |
研究概要 |
新しい電気化学的な方法で良質な多結晶シリコン(Si)薄膜を製造し、これを用いて新型の高効率・低コストな太陽電池を作製することを目的として研究を行った。昨年度は、単結晶Si板またはNi板をLiCl-KCl溶融塩電解質(450℃)中に半分だけ浸し、四塩化ケイ素(SiCl_4)ガスをセル中に吹き込むという方法で、陰極上に多結晶Si薄膜の析出を試み、数μm以上の粒径の多結晶Si薄膜が析出することを確認した。ただし、SiCl_4がこの溶融塩にほとんど溶解しないため、陰極上の溶融塩のメニスカスの上端部にのみ不均一に析出物が生じるという問題があった。これを解決するため、今年度は、K_2SiF_6を用いるなど、種々の方法を検討したが、均一な膜は得られなかった。そこで、次に、SiCl_4の溶解度を高める目的で、有機系の溶融塩(塩化ノルマルブチルピリジニウム)を電解質に用いることを検討した。この溶融塩は、適当量の三塩化アルミニウムを加えることにより、常温で液体となる。これを用いた結果、かなりの量のSiCl_4が溶解することが明らかになり、Al/Al^<3+>電極を参照極として+1.0V vs. SCE付近から還元電流が流れ、Siが析出することが確認された。現在、この析出物の構造や性能の分析を行っている。これとは別に、新しい太陽電池用接合法の研究についてもさらに検討した。これまでは単結晶Siウエーハを用いて実験を行ってきたが、今年度は多結晶Siウエーハを用い、この上に白金超微粒子(Bredig法白金コロイド)をまばらに施すという方法を検討した。多結晶Siウエーハの表面にポーラスシリコンを作製して、閉回路光電流(j_<SC>)を増加させることも試み、最終的に、開回路光電流(V_<OC>)0.56V、太陽エネルギー変換効率12%を得た。これにより、金属微粒子を用いる方法が多結晶Si薄膜にも適用できる見通しを得た。
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