本年度はインジェクター及び観測系の基本設計を行った。 インジェクターの設計ではリニアモーター方式として短絡コイルを電磁誘導の原理で反発力で加速する方法と、磁性体を吸引力で加速する2通りの方法を検討した。その結果、前者は短絡コイルが駆動コイルに近いときに強いパルス電流で駆動でき、能率、再現性に優れているが、超伝導体を二次コイルに使用しない限り、駆動力が弱く、加速、計測、軌道予測、ペレットの変形などを主目的とする本研究には不向きであることが分かった。磁性体を吸引する方式においてはサボ-と呼ばれる台に乗せて加速する方法と、直接ペレットに磁性体をコーティングして加速する方法を検討した結果、ターゲットに直接手を加えないサボ-方式を採用することになった。現在、主加速コイル4段、速度調節コイル1段からなるインジェクターの設計が進められている。 計測部分では半導体レーザーとオプティカルファイバー、フォトピックアップからなるシステムで、速度計測を行い、高速度CCDカメラで直接画像をコンピューターに取り入れることが可能であることが分かった。将来極低温に冷却して実験できることを前提にシステム設計が進められている。
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