本年度はインジェクターの製作と試運転、及び観測系の基本実験を行った。 インジェクターは最終的に能率、再現性に優れているリニアモーター方式とした。ペレットが銃身に接触して傷が付くのを防ぐために、アルミ円筒にペレットを乗せ、加速する方法を採用した。この方法を採用することにより、短絡コイルの径を大きく取ることができ、また、銃身と飛翔体のクリアランスを小さくすることができ、ひいてはインジェクションの方向精度を高めることができる。 加速器は全長1mで、3相3段のコイルで構成され、最終的には10m/sの速度得るとともに、各段間でのトリガータイミングの速度に対する影響などが調べられるようになっている。 試運転は回路特性を測定するためパワーを押さえながら半波行われた。飛翔体の速度としては1m/sが得られ、飛翔体の初期設定位置の速度に対する影響などを調べた。 将来の方向精度を議論するのに、銃身内での飛翔体の動きを正確に押さえておく必要がある。コーナーキューブを利用し、2波長レーザーで飛翔体の速度、傾き中心からの平行移動量を同時に測定する方法を検討した。半導体光重心センサーで反射光の位置を電気信号に変換することにより、傾きについては0.4秒の角度精度で、平行移動量については15μmの精度で測定できることが分かった。
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