研究概要 |
本研究では,(1)装置全体の動作特性の確認,(2)従来の圧縮液領域におけるヘリウムIIに関する実験結果の整理と吟味および(3)伝熱面の製作と予備実験を行った.(1)に関しては,ヘリウムIとヘリウムIIを分離するためのセパレート部と熱交換器をもつインサート部を製作し,圧縮液領域のヘリウムIIが安定して発生できるか否かの装置全体の動作特性の確認を行った.その結果,大気圧飽和のヘリウムI(バス温度Tb=4.2[K])の状態から飽和ヘリウムII槽を真空排気を始め1時間程度で圧縮液領域のヘリウムII(Tb=1.9[K],圧力P=0.0946[MPa]〜Tb=2.1[K],P=0.1023[MPa])の状態が達成できた.(2)および(3)に関しては,従来の実験を整理・検討した結果,過渡伝熱特性の測定には発熱体であると同時に温度計としても使用できる時定数の小さい伝熱面を必要とするので,ロジウム-鉄薄膜温度計素子および白金-ロジウム(13%)線を伝熱面として使用して,まず予備実験として,(1)において達成されたヘリウムIIの圧縮液領域において定常伝熱特性を測定した.その結果,白金-ロジウム(13%)線(姿勢:水平)に関しては,温度計としての精度が悪かったために沸騰曲線は得られなかったが,膜沸騰領域へ移行する熱流束(q=0.2[MW/m2]程度)の確認および沸騰様相の観察が出来た.ロジウム-鉄薄膜温度計素子については,垂直の姿勢で実験し沸騰曲線が得られたが,従来の細線の結果(金・マガジン[0.25%]線,径0.08[mm],Tb=2[K])と比較すると,伝熱面温度は同じ熱流束で比較すると高温側へ多少ずれた結果となった.但し,膜沸騰領域へ移行する熱流束は0.1〜0.2[MW/m2]で従来の結果と同様な結果が得られた.
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