研究課題/領域番号 |
07458119
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
瀬古 勝基 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (70196971)
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研究分担者 |
幸島 司郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60183802)
中尾 正義 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90142695)
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キーワード | 積雪 / 積雪中の不純物 / 微生物 / アルビードスペクトル / 氷河 / 組成と光学的性質 / 融解 / 固体粒子の組成 |
研究概要 |
既存の、積雪資料に含まれている不純物質を濾過して、その顕微鏡観察とアルビードスペクトルの計測を行なった。ミリポアフィルター上に濾過した雪氷資料に含まれる、不純物のアルビードスペクトルを計測することで、鉱物的な色彩と微生物活動を分離検出できた。鉱物は、単波長の顕著な吸収を示し、微生物は、その固有の色素による顕著な吸収を示す。又、詳細な顕微鏡観察により、微生物活動を伴う粒子は、黒色や茶色を呈するものが存在することが明らかにされた。スペクトルを観察すると、一般に不純物が藻類を含む場合、特徴的な吸収バンドが680nm付近に現われ、これはクロロフィルの吸収帯に一致している。また、黒っぽい色を示す微生物粒子は、特徴的な吸収バンドを示さない。従って、黒さを作る微生物活動は、土壌環境における腐しょく層と似た性質を持っていることが示唆された。 さらに、研究分担者(幸島)らが、蛍光顕微鏡を用いて、黒い色彩を呈する固体粒子を詳細に観察した結果、生きた部分と、鉱物や生きていない有機物質の複合体であることも明らかにされた。この手法を用いれば、氷河に生存している微生物を含む固体不純物質の活性度を定量化することもできる。 研究分担者(中尾)らは、黒い微粒子が、実際の積雪において融解を加速したり抑制したりする現象について実験を行なった。その結果、黒い粒子は積雪アルビードを低下させるが、それが表面で凝縮することで、アルビード低下を抑制する作用があることが明らかにされた。 今後、以上のようなミクロな固体粒子の組成、光学的性質と、雪氷圏の環境とのかかわりについて、今年度、開発した手法を用いた研究を継続する。
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