本研究の目的は、沿岸部での内部境界層の形成過程やその中での汚染物の拡散過程について風洞実験と数値シミュレーションの手法で解明することである。平成7年度及び8年度の研究実績は以下の通りである。 1。2次元及び3次元風洞の特性の解明。 (1)多数の送風機を持ち、それぞれをコンピュータで制御することで、複雑な特性を持つ乱流を発生させることのできる乱流風洞を開発している。2次元風洞は、11個の送風機を持ち、3次元風洞は、2次元風洞を横に6列並べた構造を持ち、合計66個の送風機を持っている。これらを独立に制御することで、平均風速、乱れ強度、乱れスケールなど多くの乱流特性を制御することが可能であることが見いだされた。この結果を第14回風工学シンポジウムで発表した。 (2)自然の風を計測し、この変化を風洞内で忠実に再現できることが明らかとなった。この際の相関は、流れ方向と鉛直方向共に90%以上が得られた。この結果を、第2回計算風工学シンポジウム(米国コロラド州立大学)で発表した。 2。汚染物質の拡散過程を確認するための3次元風速場の測定。 (1)拡散過程の確認には、まず、流れ場の可視化が必要である。レーザー可視化装置によって、流れの可視化を行った結果、予定されていた流れが観測された。 (2)次に、内部境界層内外の流速の測定を行うことが重要である。熱線流速計による測定によって、流れ場の解析を行った。 (3)3次元風洞内に簡単なモデルを置き、内部境界層の発生とその中での拡散過程を測定した。その結果、パフ・フュミゲションモデルによる予測を裏付ける拡散現象が確認できた。
|