研究概要 |
本研究の目的は被爆試料中のEu-152の測定に基づき,中性子発生装置を使ってシュミレーション実験をし、その後MCNPコードの正しさを証明した後,DS86を見直し改定し新しい線量評価体系を作成すること。そして原医研の線量推定方式(ABS93D)を改定し独自の放射線の人へのリスクを見積る方法を検討開発することにある. 平成7年度の研究の目標は、(1)被爆試料の収集と保管、測定と、(2)中性子によるシュミレーション実験と,計算コードMCNPの計算精度の確認(ベンチマークテスト)であった。このうち被爆試料の収集については広島大学の東千田町キャンパス(1,3-1.5km)の3ヵ所の建物から、コンクリートコア、タイル、鉄の被爆試料を採取した。それぞれ保管している。またベンチマークテストについては中性子発生装置からの中性子の発生状況が良くなる安定な運転ができていないので次の年度に回した。 本年度はそれに加え次年度に準備を予定していた広島大学原医研の被曝者集団へのDS86に基づいた線量を付与する問題点について検討を加えている。この線量はABS93と命名しすでに線量付与を開始している。このABS93Dはその方法についてHealth Physics誌に投稿し、この度掲載が認められた。印刷中である。ただ線量付与で問題となる、しゃへいの状態(木造家屋のなかの被曝か、そばか、まったくの無しゃへいかなど)および被曝距離を出すための被曝の場所にまだ問題がありそうであり、検討を開始した。特に即死状態となる線量が600cGy以上の被爆者が多数わかってきたことがその理由である。
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