研究課題/領域番号 |
07458132
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
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研究分担者 |
松浦 正明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (40173794)
早川 式彦 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40022834)
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キーワード | 原子爆弾 / 中性子 / DS86 / 放射線量 / 被爆者データベース / ベンチマークテスト / ガンマ線量 / 広島 |
研究概要 |
広島長崎の原爆線量評価システムDS86にはまだ残された問題がある。本研究代表者はグループとしてこの原因を追求してきた。今回は広島原爆のガンマ線の測定結果から、広島原爆の放射線量の問題を検討し、中性子の計算から以下の提案をしてきた。「1.原爆が底が抜けたように割れ、そこの隙間から5%位の速中性子が横方向に漏れたこと、」「2.爆発地点の高さを90m引き上げること、」の2点である。これを仮定すると1km以内の中性子のデータと計算値はよく合う。ここではこの同じ仮定を使ってガンマ線の線量を計算しその結果が合うかどうかを試した。広島原爆関連の過去のデータをすべて集め上記の仮定の基に即発中性子が空気や地上の土壌と反応して発生した即発2次ガンマ線を計算した。ガンマ線には、即発ガンマ線、即発2次ガンマ線、遅発ガンマ線、遅発2次ガンマ線と呼ばれる4つの成分があるが、主な成分は即発2次ガンマ線と遅発ガンマ線である。他の2つは無視できる。遅発ガンマ線にはDS86の結果をそのまま使った。ガンマ線は全体的によく合っているといえるが、強いて言えば近距離ではデータはDS86による推定により低いものが多い。一方遠距離ではデータはDS86の推定より大きいものが多い。上記の2点の仮定に基づいた結果傾きは実験値と大体合っているが、全体的に低い。そこでさらに全体を20%増加させると傾きも絶対値も大体合った計算結果が得られる事が分かった。そこで今回は上記2つの仮定に、「3.広島原爆の出力を20%引き上げる、」ことを追加する。3番目の仮定を追加すれば中性子の計算が20%増加することになる。中性子の方は20%変化してもデータのばらつきは大きく、最終的にはベストフィットを全体的に考えるべきであるが、今回は基本的考えを提起することが目的であるのでこのままにした。
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