測定法の開発:昨年のガスクロマトグラフによる測定法の開発につづいて、この研究によって購入したイオンクロマトグラフによるフッ素系界面活性剤ペルフルオロオクタン酸(PFOA)の分析法について検討を行った。 挙動研究:水環境におけるPFOAのバクテリアによる分解性について検討を行った。その結果、ほとんどバクテリアによって好気的にも嫌気的にも分解されないことがわかった。熱による分解も300℃ではおきない。平成8年度は土壌による吸着試験も試みた。その結果、粘土鉱物、人工土壌、湖沼堆積物などにとりこまれやすいことがわかった。モンモリロナイトへの取り込み実験の結果、化学構造から推定されたKoc値とよく一致した。しかし、人工土壌、堆積物では異なることがわかった。すなわち、PFOAは粘土鉱物などへの吸着ではなく、水と固体への分配と認められる結果となった。低濃度での検討がさらに必要であると思われる。 生態影響試験:国立環境研究所で水環境の生態影響試験を行った。ミジンコの急性毒性試験、および慢性試験、セレナストルムによる藻類成長試験、ヌカエビおよびヒメダカによる毒性試験をPFOAと同時にすでに環境に排出されているトリクロサンについて行った。トリクロサンにくらべてPFOAの齧歯類への毒性は約2分の1であるが、水生生物にたいしては約千分の1であることがわかった。そのほかミミズへの影響、エイムズテストなども外部に依頼して行ったが、水生生物と同様に毒性は低いことがわかった。 環境影響評価:以上の結果を用いて環境へ排出された際のリスクについてオランダで開発されたUSESにあてはめた結果を環境影響評価の立場から検討した。 化学物質の管理のあり方:以上の研究結果を踏まえて今後の化学物質の管理のあり方についての提言を行った。
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