研究課題/領域番号 |
07458134
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松永 勝彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (90001619)
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研究分担者 |
志賀 直信 北海道大学, 水産学部, 講師 (30091466)
久万 健志 北海道大学, 水産学部, 講師 (30205158)
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キーワード | 森林 / 腐植土 / 植物プランクトン / 海藻 / 鉄 / フルボ酸-鉄錯体 |
研究概要 |
鉄といっても、種々の形態の鉄が存在しているが、サビといわれる水和酸化鉄そのものは光合成生物に直接摂取されず、わずかに溶解するFe(OH)_2を光合成生物は摂取している。しかし、溶解速度は極めておそいため、水和酸化鉄が光合成生物に果たす役割はあまり期待出来ない。一方、森林の腐植土から溶出するフルボ酸鉄錯体は水に溶解しており、光合成生物に極めて容易に摂取されることが明らかになってきた。ちなみに、コンブによる水和酸化鉄とフルボ酸-鉄の摂取速度を比較すると、1-2オーダフルボ酸-鉄の方が速く摂取されることがわかった。これは、7月に実験を行ったので、コンブが生長する春の再度行う予定である。斜面の森林を流れる河川中でのフルボ酸鉄錯体はおよそ0.7μMであったが、平地の森林を流れる河川水中のそれは数μM、また水田でも平地の森林と同様であった。河口海域に流入すると、フルボ酸鉄は塩効果により凝集を生じるが、およそ0.4μM Fe(フルボ酸の炭素で3-4ppm)のフルボ酸鉄はそのまま海水に溶解し、残りは凝集・沈降する。石灰藻の胞子にフルボ酸を5ppm共存させると、2-3日で死んで分解する。このことから、河川水中では海水に溶解する以上の濃度で河口に流入しないとフルボ酸の凝集は生じないことになる。しかし、人工的に手が加えられていない森林を有する川ではこれ以上の濃度で流入している。河口域にセジメントトラップを設置し、沈降物を集めたFluxから、1×1m×0.2mmに1時間沈積したとすると、2-60ppmのフルボ酸濃度になる。
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