研究概要 |
都城盆地における地下水および湧水の硝酸態窒素濃度について、1996年度は8町については春,8月,12月の3回,都城市についてはさらに10月を加えて4回測定した。結果は、1)採水時期によって地下水と湧水の硝酸態窒素の濃度は変化し,8月の測定値が高い傾向にあった。2)8月の地下水および湧水の硝酸態窒素濃度の頻度(測点数652)を調べると、10ppm以上の測点が14%、8〜10ppm未満が11%、6〜8ppm未満が16%、3〜6ppm未満が31%、0〜3ppm未満が28%であった。これらの年間平均値での頻度もほぼ同様であった。3)井戸の深さと硝酸態窒素濃度の関係を都城市のデータで見ると、硝酸態窒素濃度が10ppm以上の測点の井戸の深さは40mより浅い。ただし、深い井戸のデータが少ないので、今後深い井戸のデータの収集が必要である。4)集落単位でみた地下水および湧水の硝酸態窒素濃度と(畑+樹園地+牧草地)の面積の割合、および単位面積当たりの家畜糞尿による窒素量との相関関係はどちらも認められなかったが、都城市での地域単位ではいずれも正の相関関係が認められた。集落単位でみた場合は、点源(例えば、家畜など)の影響が考えられる。5)1市8町の行政単位での単位面積当たりの家畜糞尿による窒素量と地下水および湧水の硝酸態窒素濃度との関係は、正の相関関係が認められた。 イオン交換樹脂の坦体として疎水性の高い多孔質のポリスチレン樹脂と、一方親水性の高い多孔質のグリシジルメタクリレート樹脂を用い、官能基として塩基性の高いグアニジウム基を導入し、これらの樹脂を用いた硝酸態窒素の除去について検討した。その結果、硝酸イオンや塩化物イオンに対する硝酸イオンの選択性は、市販の4級アンモニウム塩型の樹脂より高く、その吸着効率も高いことが明らかとなった。また、樹脂坦体の疎水性と親水性の影響については、疎水性の高い樹脂の方が硝酸イオンに対する選択性が高くなることが示唆された。
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