研究概要 |
1 ドクササコ毒成分で非常に強い脱分極作用を示すアクロメリン酸類縁体の立体化学をケミカルシフト値から簡単に知る方法を見い出した。カイノイドの活性は立体化学によって大きく左右されるため、これを知ることは非常に大切であり、本法の有用性は高い。即ちH-2のシグナルが4.2ppmより高磁場側にある時は2,3-transであり、これより低い時は2,3-cisである。また、H-2のシグナルが2,3-trans体でcis体より高磁場側に現れると同様に、H-4のシグナルでは3,4-trans体の方がcis体より高磁場側に現れる。この関係はpH(pD)3--8で測定した時例外なしに成立した。 2 N-Boc-4-トシルオキシプロリンにR_2CuLiを作用させると4位での置換反応は立体保持で起きる。この機構には a.カルボキシル基の関与、b.N-Boc基の関与、c.プロリンのイミノ基の関与 と三つの可能性があるが、このうちa.カルボキシル基の関与であることを見い出した。 3 アクロメリン酸類縁体の新合成法として、アリールエチル メトキシカルボニルプロペニル アミンを光照射して生ずるベンジルラジカルをα,β-不飽和エステル側で捕え、環化させる方法をモデルで検討し、可能なことを確かめた。 4 種々のアルコールをジムノプレノールに替えてHMGAエステルとし、脱分極活性を調べた。 5 ヒカゲシビレタケのような神経系に作用するキノコは子実体を割ると青変する。この青い色素の構造を探るため、シロシンを酸化して青色色素を作りこの構造の検討を行った。
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