研究概要 |
研究代表者はVMA1プロトザイムの中央部分に位置する50kDaDNAエンドヌクレアーゼの両末端(Gly283-Cys284およびAsn737-Cys738)でペプチド鎖の切断・再結合が生じ、ヌクレアーゼの切出しと共役して69kDa V-ATPase触媒サブユニットが生産される根拠を示し,スプライシングの反応過程を提案した.本研究は,この自触的スプライシングの分子機構を解明することを目的として、以下の研究を行った. I.正常およびタグつきVDEエンドヌクレアーゼの製造・精製・スプライシング反応の解析:下記のポリペプチドをHPLCにより効率良く大量精製する方法を確立した. (A):C284FAK‥‥VVVHNC738;(B):IIYVGC284FAK‥‥VVVHNC738GER;(C):IIYVGA284FAK‥‥VVVHNA738GER.ポリペプチドA(結晶化に用いる)は正常のVDEエンドヌクレアーゼ、BはN-末端に疎水性アミノ酸クラスターIIYを付加し、更に、C-末端に解離性アミノ酸を連結している.この279II Y281は733VVV735と平衡β鎖構造を形成すると予見されている.CはBのCys284,C738をAlaに置換した変異ポリペプチドであり、スプライシング活性を持たないと考える.現在,ポリペプチドCを対照として、ポリペプチドBのスプライシング反応の温度,pHおよび塩濃度依存性を解析している.II.分子遺伝学による平衡β鎖構造の機能とスプライシング活性との相関:プロテインスプライシングの反応部位の近傍に位置し,平行β鎖構造を形成するのに重要と考えられる疎水性アミノ酸クラスター領域(279IIY281および733VVV735)に着目し、スプライシング反応に必要不可欠な一次構造上の配列に置き換えた変異,を分子遺伝学的に探査するため,これらの疎水性アミノ酸クラスター領域をランダムな配列VMA1遺伝子を多数作製し,スプライシング可能な配列、不可能な配列を評価した.スプライシング反応に必要かつ十分であるとして選抜された配列が、平行β鎖構造を形成しうるか否かを蛋白質モデリングにより検証する予定である.
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