膜タンパク質の構造形成に対する様々なファクターの寄与を定量的に評価するために、以下のことを行った。1.バクテリオロドプシンのループセグメントの構造がタンパク質全体の安定性にどの程度寄与するかを調べるために、各種の変性材を加えたり、pHを変化させて変性挙動を測定した。そして、他の膜タンパク質(イオンチャンネルやP450)の場合との比較も行った。その結果、膜貫通ヘリックス間の結合は極性相互作用によるということがわかった。2.膜タンパク質の安定性を決める相互作用とは別に、タンパク質全体として、どの程度の活性化エネルギーで安定化されているかを明らかにするために、変性のキネティクス測定を行い、活性化エネルギーを求め、どの程度の大きさの非共有結合が構造を安定化させているかを評価した。この実験からは活性化エネルギーが数10キロカロリーとかなり大きいことがわかった。また、変性キネティクスの測定からは、光サイクルの中間体の安定性についての情報も得られつつある。 今後、変性キネティクスの測定を中心に実験を進め、機能に伴う構造安定性の変化を明らかにする予定である。
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