研究概要 |
触媒機能をもつRNAの分子進化に必要な条件および要素を解明するとの目的で、テトラヒメナ由来のRNA酵素(リボザイム)内の未同定の物理的に独立した機能構造単位を探索した。その結果、2つの二次構造上大きく離れたステム-ループ構造(P2.1, P9,1)が、通常のワトソン-クリック塩基対により遠距離相互作用を行っていることを発見し、それらの存在を実験的に確認するとこれに成功した。また、これら二つのステム-ループ構造をもつユニットの一つは、別途合成することを欠くRNA酵素に対して分子間相互作用により活性化を行う機能をもつことを明らかにした。さらに、この活性化には、特殊なステム内の塩基対が大きな役割を果たすことを解明した。現在、これらを基に機能構造単位の増設実験を試みている。 in vitro selectionとcolony assay法を組み合わせた機能構造単位構築のための実験システムを開発し,これを用いてテトラヒメナ由来のRNA酵素のひとつの機能構造単位の解析を行った。その結果、特定の位置でのプリン残基の存在が活性の発現に密接に結びついていることが明らかとなった。この研究結果は、RNA酵素の構築に関して、新規な知見でありかつ意義の高いものであるため、さらにこの方向の研究を続ける予定である。また、RNA酵素への点変異の導入による突然変異体作成の基礎となる実験を、error prone PCR法を用いておこない、その結果、特異な反応性を有する変異体を単離する事に成功した。現在、同様の変異体の系統的な作成とそれらの詳細について研究をすすめている。
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