研究概要 |
多岐の生命現象に係わっており生命維持に不可欠の現象であるアポトーシスは、厳密な遺伝子調節下にあることが知られているが、現在では関与する遺伝子のごく一部が単離されているにすぎず、またその分子機構は不明な部分が多い。種々の解析からICE(システインプロテアーゼ活性を持つinterleukin-1β converting enzyme)は哺乳動物の細胞死実行遺伝子であると考えられている。しかしICE欠損マウスにおいても多くの細胞死は正常に機能することから類似遺伝子の存在が想定されてきた。我々は、ヒトゲノム中にICE類似遺伝子ric2とric3を見い出し、それら遺伝子の構造と細胞死における機能を分子生物学的および細胞生物学的手法をICEと比較しながら解析した。 ドミナントネガティブ変異と特異抗体を用い、ric2がFas誘導性アポトーシスに関与していること、またICEファミリーメンバーであるCPP32を活性化することでその機能を果たしていることを示した。また、ric2,ric3がともにICEの阻害たんぱくであり種々のアポトーシスを抑制するCrmAにより直接阻害されることを示し、ともに種々にアポトーシスに関与する可能性を示唆した。
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