研究概要 |
ユリ花粉母細胞から単離されている18この減数分裂特異的遺伝子(LIM1…LIM18)の内、組み換えに関与する可能性のあるものを選抜し、組み換え複合体(RC)のモデルを考えた。 1。LIM15はRecAとやRAD51と塩基配列に相同性を持つが、違った機能を持つ。減数第一分裂前期ではLIM15とRAD51は染色体上の同一又は極近傍に局在しRCを作っているらしい。 酵母ではRAD51,52,55,57,一重鎖DNA結合蛋白と他の2、3の蛋白質から成るRCモデルが考えられているが、ユリの第一分裂前期に単離されていて組み換えに関与する要素から、RCは、LIM15,RAD51,ATP依存型と非依存型のDNA鎖転移酵素(mRecとAimRec),DNAポリメラーゼB、小型二重鎖RNAとこれらの局在を決め複合体として纏める分子シャパロンを加えたモデルを発表した。リゾルベースとトポイソメラーゼが染色体上に存在し、その阻害剤が染色体の断片一粉末化を起した事から、これらのRCへの関与が示唆できた。 2。この分子シャパロンの候補となりうる蛋白質の遺伝子、LIM10,11,12、のうちLIM10蛋白に対してモノクローン抗体(mAbLIM101,102,103,104)とポリクローン抗体(AbLIM101)を作製し減数分裂の各ステージでの発現をみた。mAbLIM101によるウエスターン解析は、LIM10蛋白は細糸期から出現し、四分子期迄18kDaの単一のものとして核と細胞質に存在するが、厚糸期末に最大量を示した。一方、ポリクローン抗体では間期から四分子期までを通じて100kDa,28kDaと25-15kDaの間に複数のシグナルとして検出し、恐らく類似性をもつ蛋白質が体細胞、生殖系細胞に共通に存在することを示唆した。
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