研究概要 |
ユリの花粉母細胞から既に単離されていた減数第一分裂前期に発現する18個の遺伝子のうち、完全長のとれていなかったLIM13の全塩基配列を完成した。大腸菌の相同組み換えに働く遺伝子、RecA,に相同性をもつLIM15遺伝子の構造決定、抗体生産を完成し、LIM15蛋白質が減数第一分裂前期特に対合期をピークに相同染色体が対合する領域に出現することを明かにした。LIM15蛋白質の染色体上への局在とRAD52などの出現を対比させ、相同染色体の対合、遺伝子組み換え(conversionを含めて)などには、複数個の蛋白質が直接に関与することを示唆した。さらに組み換えの中間体が形成されると予想される領域には2本鎖的構造をもつRNAが結合している可能性を示した。他方、LIM14遺伝子は減数第一分裂前期から発現するにも拘わらず、相同染色体の対合にも遺伝子組み換えにも関与していない事を確認した。LIM14はグリシンとセリンに富む蛋白質で、細胞壁蛋白質として知られているものに塩基配列相同性をもっている。しかし、LIM14の局在はタペ-ト細胞と花粉細胞の澱粉粒にみられるだけで、これらの細胞の他の細胞内小器官にも、茎、葉、根、花弁などの澱粉粒にはみられない。澱粉を蓄積するプラスチドへの移行シグナルはLIM14蛋白質のN-末端の疎水性領域にあり、プラスチド移行シグナルとして注目できる。
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