KidはDNA結合能を持つキネシン様モーター蛋白質で665アミノ酸残基からなっている。今年度はKid結合DNA配列を明かにし、さらにKidに会合する分子の探索を行った。 1.Kid結合DNA配列 Degenerated rondomオリゴヌクレオチド配列を利用したPCR-BSS(binding site selection)法により、Kid蛋白質と結合する配列を決定した。その結果次のような規則性を有する2種類のコンセンサス配列にKidが選択的に結合することが分かった。 1.5'G(A or G)G(T or G)NN(A or T)(A or T)3' 2.5'(A or T)(A or T)NNN(G or T)C(G or T)t3' これらの配列は、哺乳類染色体のセントロメアにあるアルフォイドDNA中の配列とも類似しており、これはKidがセントロメアに分布するという知見と矛盾しない。 2.Kid会合蛋白質 酵母two-hybrid法を用いてKidのカルボキシル側半分(DNA結合領域を含む)と会合する蛋白質を探索した。これまでに細胞分裂前期に起こる核膜崩壊に関与するラミンB、細胞死に関与するFasと会合することが知られているFAF1蛋白質、ユビキチン依存性蛋白質分解酵素系に含まれるUBC9蛋白質等を候補として見い出している。
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