研究概要 |
(1)アフリカツメガエルのNFst.19/20の裸胚を24時間培養した飼育液(孵化液)に含まれる未受精卵卵膜を溶解する活性(孵化酵素、HE)を阻害する抗UVS. 2抗体は、60kDと少量の40kD分子を認識する。孵化液を硫安沈澱、Superdex 75によるゲル濾過Mono Qを用いたイオン交換クロマトにより部分精製したところ、60kDを含む分画はタンパク分解および卵膜溶解活性をもつものに対し、40kDのみを含む分画はタンパク分解活性はあっても卵膜溶解活性を示さなかった。しかし、40kD分子をそれ自身は卵膜を溶かし得ない低濃度の60kD分子と混合するとつよい卵膜溶解活性が生じた。cDNAに基づく孵化酵素の一次構造からみて、60kD分子のもつ基質認識またはプロセシングによって40kD分子に含まれるプロテアーゼの卵膜溶解活性が発揮される、という推定が可能である。 (2) Superdex 75によるゲル濾過、Mono Qによるイオン交換クロマトとによりアフリカツメガエル、エゾアカガエルの孵化液からそれぞれ40kD、55kDの分子を高度に精製した。両者ともArg-MCAを基質とし、EDTA, Zn^<2+>, Cu^<2+>により阻害され、Ca^<2+>により活性化される他、DFP, leupeptin, SBTI, ovomucoid, p-APMSFにより強い阻害を受けることから、トリプシン型メタロプロテアーゼとみなされる。 (3)冬眠中のヒキガエル輸卵管直部の前後をあらかじめ結紮してから脳下垂体を与えて12-15時間後には直部が著しく膨潤し、その中の液を集めることにより66kDのプロテアーゼを極めて効率よく回収できることを発見した。この方法を用いてoviductinのN末端15残基のアミノ酸配列が決定された。
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