研究概要 |
前年度までに、RGDペプチドが、植物の、しかも表層微小管のみならず、核や葉緑体の形状など細胞膜から離れた細胞内構造にまで影響を及ぼすということを発見し、動植物を通して新しい知見であり、早急に解析されるべき特色ある研究研究結果であった。本年度はさらにこの作用機作を解明するための詳細な実験を続けた結果、この結果はメーカーのRGDペプチドの合成時に混入したほんの少量の酢酸の影響であることが、メーカーとのやりとりの結果判明した。上記のように、本年度はRGDペプチドの直接の作用ではないが、細胞に対する微量な酢酸の影響についての結果を得た。 そこで植物における細胞膜と細胞壁を接着する因子そのものを直接探索することを計画し、動物細胞の接着因子として働いているインテグリンβサブユニットの保存領域を参考にプライマーを作製し、我々の材料であるホウライシダにインテグリン様分子が存在するか否かを探索した。まず、様々なRNA抽出方法を検討した結果、CTAB法を改良した方法で比較的純度の高いRNAを得ることができたので、RT-PCRを行った。明所で生育させた胞子体幼葉を用いると4本(1.5,0.92,0.6,0.48kb)のバンドが検出できた。アニーリング温度を上昇させると1.5kbのバンドは消失したので、このPCR産物は非特異的産物と考えられた。現在、これらのRT-PCR産物をクローニング中である。
|