研究課題/領域番号 |
07458202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
岸 清 東邦大学, 医学部, 教授 (00014118)
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研究分担者 |
小田 哲子 東邦大学, 医学部, 助手 (90224237)
角田 幸子 東邦大学, 医学部, 講師 (80057752)
小島 久幸 東邦大学, 医学部, 講師 (00104539)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 梨状葉皮質 / 多極性神経細胞 / 軸索側枝 / 細胞内染色法 / GABA / 錘体細胞 / 免疫組織化学的染色 |
研究概要 |
モルモットの梨状葉皮質第III層の多極性細胞と錘体細胞を免疫組織化学的染色とbiocytin細胞内染色法で解析した。多極性細胞はγ-aminobutyric acid,calbindin,およびparvalbuminnに対する免疫組織化学反応陽性であるために抑制性神経細胞であると考えられた。細胞内染色法によって、単一多極性細胞の細胞体の直径は約19x17γmであり、一部の樹状突起は嗅球からの入力線維が入る梨状葉皮質第Ia層に達していた。軸索は、細胞体から112μm走る間に4本の主な枝を分岐し、軸索の全長約90mmに達した。単一多極性神経細胞の軸索および測枝が持つ神経終末(ボタン)の総数は約7000個であり、その殆どは通過ボタンであった。この神経終末(ボタン)のうち、梨状葉皮質第III層に分布する神経終末(ボタン)数はボタン総数の65%を占める約5000個であった。なお、梨状葉皮質第I、II層には軸索は分布せず、神経終末もなかった。また、扁桃体の諸核には19%、約1300個、島皮質には10%、約700個、dorsal endopiriform nucleusには5%、約350個、ventral pallidumには1%、約80個が分布した。したがって、多極性細胞は、梨状葉皮質の第III層において、第II、III層の錘体細胞の基底樹状突起に抑制性出力をフィードバックすると考えられた。錘体細胞はglutamateに対する免疫組織化学反応が陽性であり、尖端樹状突起にN-methyl-D-aspartate受容体を持つ。単一錘体細胞の軸索は全長約140mmであり、約14000個の神経終末(ボタン)を有した。軸索側枝は梨状葉皮質内で約7000個の神経終末を形成し、錘体細胞と多極性細胞に興奮性出力をフィードバックすると考えられた。また、側枝は扁桃体、嗅内野、および島皮質などにも到達した。これらの神経回路は、梨状葉皮質におけるてんかん波の生起、およびその扁桃体、海馬、島皮質への伝搬を単一細胞レベルで説明するものである。
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