研究課題/領域番号 |
07458214
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
赤川 公朗 杏林大学, 医学部, 教授 (80129303)
|
研究分担者 |
藤原 智徳 杏林大学, 医学部, 助手 (90255399)
藤野 一郎 杏林大学, 医学部, 助手 (30265764)
山口 和彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (00191221)
|
キーワード | HPC-1 / 神経発芽 / 神経可塑性 / 海馬 / カイニン酸 / 最初期遺伝子 / 長期増強 |
研究概要 |
神経特異蛋白質HPC-1/syntaxin 1Aは神経伝達物質の開口放出過程を抑制的に制御している。HPC-1が長期増強現象(LTP)等の神経可塑性現象に関与するという仮説を明らかにする為の第一段階として、神経細胞に与えられた種々の興奮刺激によりその遺伝子発現が変化するか否か検討した。方法はラット個体及び培養細胞を用いて、グルタミン酸受容体のアゴニストであるカイニン酸(KA)を投与した時、脳の海馬神経細胞におけるHPC-1mRNA量の経時的変化をin situ hybidization法及びノザンブロット法で検討した。その結果、in vivoではKA投与後、1時間から12時間にわたりmRNA量が減少することを見出した。この減少は海馬の顆粒細胞層よりも錐体細胞層領域に顕著であり、部位差を認めた。幼若ラットより得た海馬神経細胞を培養した後、KAの効果を調べると、投与後30分以内にHPC-1mRNAが減少するが、2時間後には正常に復することが明かとなった。これらの結果は、HPC-1mRNAがグルタミン酸アゴニスト刺激により最初期遺伝子(immediate early gene、IEG)様に急速に変動することを意味していた。しかし既知のIEGが刺激に対応して発現が増加する(up regulation)のに対して、HPC-1遺伝子は抑制される(down regulation)される点でユニークであった。またこの遺伝子発現の減少にはcAMP系が仲介していることが分った。現在、モルモット海馬切片を用いて、電気生理学的な神経可塑性現象であるLTP誘導時におけるHPC-1遺伝子発現の変化を検討している。
|