生理学的手法(脳磁図、脳波)を用いたヒト脳機能の非侵襲的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07458215
• 研究機関: 岡崎国立共同研究機構
• 研究代表者: 柿木 隆介 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10145196)
• 研究分担者: 中 大輔 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (80290914) ; 小山 幸子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40270483) ; 金桶 吉起 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (20280589)
• キーワード: 脳波 / 脳磁図 / 体性感覚 / 視覚 / 仮現運動 / 脳機能

研究概要

本年度は、この3年間におこなってきた各種刺激による誘発脳磁図の研究の総まとめをおこなった。
(1)体性感覚誘発脳磁図:本年度の新知見としては、受動運動による脳磁図記録の成功があげられる。通常用いられる電気刺激では、信号は触覚線維を上行して第1次感覚野(SI)の3b野に入力する。そこで新しい機器を作成して指受動運動を誘発し、筋線維を上行してSIの3a野あるいは2野に入力する成分による脳活動を記録した。これは電気刺激による脳磁図とは明らかに波形および活動部位が異なっており、ヒトにおいて3b野と3a野の活動を分離記録できた初めての報告である。
(2)視覚誘発脳磁図:本年度は通常用いられる白黒格子縞反転刺激を用いて「各四半視野別刺激」および「中心視野と周辺視野別刺激」による後頭葉第1次視野の活動部位を詳細に分析した。その結果、いわゆる「十字モデル」に一致した分布を示し、網膜地図と視覚野地図の相関を明らかにすることができた。仮現運動(apparent motion)は、素早く2カ所の対象物が交互に出現・消滅を繰り返すために、実際には動いていないがあたかも動いているように見える現象をいう。仮現運動に対する脳磁図を記録し、ヒトにおいてもV5/MT野に反応が出現することを確認した。現在はさらに2つの対象物間の距離を変えることにより、反応の潜時と振幅、および反応部位がどのように変化するかを検索している。

研究成果

• [文献書誌] Kitamura Y, Kakigi R, et al: "Pain-related somatosensory evoked magnetic fields following lower limb stimulation" Journal of the Neurological Sciences. 145(2). 187-194 (1997)
• [文献書誌] Sakuma K, Kakigi R, et al: "Odorant evoked magnetic fields in humans" Neurosciecne Research. 27(2). 115-122 (1997)
• [文献書誌] Shimojo M, Kakigi R, et al: "Magnetoencephalographic study of in tracerebral interactions caused by bilateral posterior tibial nerve stimulation." Neuroscience Research. 28(1). 41-47 (1997)
• [文献書誌] Nakamura A, Kakigi R, et al: "Visual evoked cortical magnetic fields to pattern reversal stimulation." Cognitive Brain Research. 6(1). 9-22 (1997)
• [文献書誌] Kakigi R, et al: "Effects of movement and movement imagery on somatosensory evoked magnetic fileds following posterior tibial nerve stimulation." Cognitive Brain Research. 5(3). 241-253 (1997)
• [文献書誌] Xiang J, Kakigi R, et al: "Somatosensory evoked magnetic fields and potentials following passive toe movement in humans." Electroencephalography and Clinical Neurophysiology. 104(5). 393-401 (1997)