研究課題/領域番号 |
07458218
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究分担者 |
岡田 隆 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (00242082)
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キーワード | 化学伝達物質 / グルタミン酸 / カルシウムチャネル / カルシウム依存性カリウムチャネル / カルシウム依存性塩素チャネル / 網膜 |
研究概要 |
キンギョ網膜から単離したオン型双極細胞を用いてCa-グルタミン酸放出連関の検討を行った。膜電位固定した双極細胞に脱分極パルスを与えてシナプス前終末部のCaチャネルを活性化させ、終末部内の遊離Caイオン濃度を計測した。蛍光性Ca指示薬(Fura-2)を用いて測定された細胞質のCaイオン濃度はCa電流が活性化されている間じゅう単調に増加したが、その最大地は高々2μMであった。これは、流入したCaイオンが細胞内Caバッファで強く緩衝されたためと考えられる。膜直下の遊離Caイオン濃度は、終末部に存在するCa依存性Kチャネルを利用して推定した。Ca依存性K電流に集合ノイズ解析を適用した結果、Ca電流が活性化されてから10ms以内にCa依存性Kチャネルは定常状態に到達し、Caイオン濃度は10μM以上になることが明らかとなった。Ca依存性K電流を抑制するのに30mMものCa緩衝剤(BAPTA)が必要であったことから、Ca依存性KチャネルはCaチャネルのごく近傍に存在していると考えられる。これらの結果から、Ca電流が活性化されるとグルタミン酸の放出部位ではCaイオン濃度が数十μMにも達することが示唆された。なお、終末部に存在するCa依存性Clチャネルは、細胞内に導入されたBAPTAの影響を強く受けることや活性化の時間経過が緩やかであることなどから、Ca依存性Kチャネルに比べてCaチャネルから離れた部位に位置していることが推定された。網膜スライス標本を使って、神経節細胞から光応答を記録し、代謝型グルタミン酸受容体アゴニストを適用したところ、サブタイプによっては光応答が修飾された。現在、このアゴニストの作用部位と作用機序を検討中である。
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