研究課題/領域番号 |
07458223
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
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研究分担者 |
藤本 一朗 生理学研究所, 神経情報部門, 助手 (70264710)
福田 敦夫 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (50254272)
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キーワード | 虚血細胞死 / Ca^<++> / カルパイン / 細胞骨格 / 血液脳関門 / 神経移植 |
研究概要 |
平成7年度に引き続き虚血脳細胞死のメカニズムの解析及び神経移植による機能の再建につき研究を行い以下のことを明らかにした。 1.細胞骨格障害 虚血再開通直後(0〜30分)より虚血部分にcorkscrew様の蛇行した樹状突起をもつdark neuronが出現することは既に報告したが、このDNの形態は細胞骨格の障害を強く示唆する。そこでDNの出現と細胞骨格の障害の関係を明らかにするため、microtubule associated protein 2 (MAP-2)及びカルパインの免疫活性の変化を調べた。その結果、1) DNの出現部位では、ニューロンの核内及び細胞質中に存在するカルパインプロエンザイム(不活性型)のN末ペプチドが切断され、不活性剤カルパインが活性型に変換され、2) DNの出現部位では、MAP2免疫活性が消失した。従って、微小管を形成するtubulin鎖をたばねるMAP2の消失により樹状突起の形態異常(DN)が生じることが想定された。一方、MAP2を強制発現させたCOS7細胞では無酸素/無グルコース(虚血と類似条件)にさらしても形態異常(DN)をおこさなかった。 2.ラジカルの関与 虚血と同時にラジカル消去作用をもつdimethylsulfoxide (DMSO)あるいは和漢薬(当帰芍薬散)を投与するとBBBの破綻が減弱し、梗塞巣が小さくなった。一方、ATPの枯渇による細胞性虚血時には血管周囲のグリア様細胞にiNOSの発現が認められ、NOの産生が高進していることが明らかになった。 3.神経移植による機能の再建 中大脳動脈の虚血・再開通の2〜3週間後に、胎仔ラットより調整した線条体細胞をロ-ダミンで標識後線条体の外側部に移植すると運動平衡異常が改善された。このような動物の脳を取り出し、移植部を含む脳切片を作製すると、移植細胞をロ-ダミンのラベルによって同定することができた。近傍の宿主大脳皮質あるいは線条体組織に電気刺激(train刺激)を加えると移植細胞内のCa^<++>濃度が上昇することが認められた。これは移植された細胞が宿主脳で生着するとともに宿主脳から機能的な入力を受けていることを意味し、移植による機能改善の一因となっていると考えられる。
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