研究概要 |
1.野生由来の新たな近交系系統の育成(近交系化およびSPF化)が完了し,これらの新たに育成された系統について,発がん実験を行った.その結果,野生由来の系統はいずれも肺腫瘍低発系であった.さらにこれらの系統を肺腫瘍高発系のA/Wyと交雑試験を行った結果,東南アジア産野生マウス由来の系統には,肺腫瘍発生に対し抑制的に働く複数の遺伝子の存在が推定された. 2.東南アジア産野生マウス由来のゲノムを1/4保持する,リコンビナント・コンジェニック系統の育成を行い,4系統が新たに近交系化された. 3.A/Wy系統とC57BL系統を用いた連鎖試験によりPas-1遺伝子のマッピングを行い,染色体上の位置をほぼ確定した. 4.マウス肺腫瘍発生に関与する宿主の主要遺伝子Pas-1の染色体の位置の同定が完了した.第6染色体上のK-ras遺伝子座下流に存在が推定されたが,遺伝子そのものの同定にはいたらなかった.しかしながら,今回得られた知見をもとにして,Pas-1コンジェニック系統の育成を開始することができる. 5.特に東南アジア産野生マウス集団には,肺腫瘍発生に対して抑制的に働く複数の遺伝子が存在することが判明したが,それらの遺伝子群の染色体上の位置の同定はまだできていない.
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