研究概要 |
I.マウス肺腫瘍発生に関与する宿主の遺伝子の同定について 第6染色体上のK-ras遺伝子座近傍に肺腫瘍発生に関与する宿主遺伝子の存在およびその染色体上の位置がほぼ確定できたが,遺伝子そのものの同定にはいたらなかった。 また,特に東南アジア産野生マウス集団には,肺腫瘍発生に対して抑制的に働く複数の遺伝子が存在することが判明したが,それらの遺伝子群の染色体上の位置の同定はまだできていない. II.発がん研究に用いられる新しい系統の育成 (1)H-2^<h4>ハプロタイプを保持するA系H-2コンジェニック系の育成:マウスの肺腫瘍発生にはH-2遺伝子複合体が関与していることがわかっているが,H-2遺伝子複合体内のどの遺伝子が実際に関与しているかは,依然として不明である.クラスII遺伝子の遺伝子産物であるE分子の多型性と,肺腫瘍発生率に関連があることが示唆されたので,Eα遺伝子座の5'末端に欠損があるH-2ハプロタイプを保持しているコンジェニック系統を新たに育成を試み,系統化が完了した.現在この系統を用いた発がん実験を開始している. (2)肺腫瘍発生に抑制的に働く遺伝子を保持する野生由来の系統(BGR系統)と,従来の実験用近交系で肺腫瘍発生高発系であるA/Wy系統との交雑による,リコンビナントコンジェニック系統の育成を行い,これまでに数lineが近交系化された.
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