研究分担者 |
小林 忍 財団法人実験動物中央研究所, 動物実験センター, 研究員
名取 孝 財団法人実験動物中央研究所, 動物実験センター, 研究員 (00001892)
谷岡 功邦 財団法人実験動物中央研究所, 動物実験センター, 室長 (10072406)
小泉 均 財団法人実験動物中央研究所, 動物実験センター, 研究員 (80167395)
玉置 透 財団法人実験動物中央研究所, 動物実験センター, 研究員 (50183471)
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研究概要 |
1)MHC class II抗原であるRT1-A遺伝子に関して、LEW/SsN,F344/SsN,ACI/SsN,BN/SsN系ラットに関して、DNA配列を検討した。その結果、ACI/SsN系が最も他のラット系に比べ、DNA配列が異なっていた。このことは以前より検討してきたラットにおける移植片生着日数ではACI/SsN系をdonorにした際、拒絶反応の発現が他の系統ラットに比べ早くまた強く見られることと一致していた。以上のことから、ラットにおいてもMHCすなわちRT1領域の抗原性の違いが移植片に対する拒絶反応性を規定していることが推測され、この領域のDNA型を判別する必要性が示唆された。 2)体外循環により、ラット体温を40℃以上に上げることにより、心、腎、肝組織細胞にHSP60,70,90(HSP70はMHC class III領域にコードされている)が誘導された。HSPが誘導された心移植例では温阻血に対して抵抗性を示し、60分間の温阻血後でも移植片は拍動を示したが、非誘導例では20分間の温阻血でも拍動を示さなかった。また、このHSPは種々のストレス下でも誘導されることが知られている。そこで、ラットに飢餓ストレスを与えた際、飢餓ストレス4日目で肝組織細胞に最も強くHSPが誘導されることが確認された。この肝臓は30時間以上の体温阻血に耐えられたが、非ストレスのラット肝では24時間では移植後肝不全のため死亡した。これらのことから、HSPは2次的ストレスに対して抵抗性を示し、臓器保存の観点から有用な蛋白質であることが推測された。
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