研究概要 |
本研究は、パルス磁場の免疫調節への応用を目指し、各種免疫調節剤により引き起こされる免疫細胞活性化過程に及ぼすパルス磁場効果を検討し、その作用機構を明きらかとすることを目的としている。平成7年度においては、対象細胞として主にマウス腹腔マクロファージを、免疫調節剤としてINF-γ及びLPSを用いて実験を行った。なお活性化は、まずINF-γを加え、その後、LPSにより刺激する第二段階とし、INF刺激時にのみパルス磁場を照射した。そのプロトコールは、予備実験により、最も有効な磁場効果が見いだせた理由による。活性化の指標として、マクロファージのエフェクター物質であるNOに着目し、その産生量を評価した。まず、磁場照射時間に関する影響を調べた。4時間のINF刺激時にパルス磁場の照射時間を1、2、4時間と変化させ、NO産生量を測定したところ、産生量が増加する場合と逆に減少する二つの群に分かれた。これらの磁場効果の違いは、マクロファージの活性化の程度、すなわちNO産生量と関連し、NO産生量が少ない場合に増加効果、多い場合に抑制効果が現れることが明らかとなった。抑制効果は磁場照射時間とともに顕著になり、一方増強効果は照射1時間の場合最も大きく現れたため、照射時間を20,40,60分として実験を行った。その結果、活性化増強効果は磁場照射20分において最も顕著であり、磁場非照射の場合に較べ2.3倍のNO産生が認められ、その増強効果は照射時間及び時期に依存し、Caイオンの取り込み過程と深く関わっていることが明きらかとなった。また、磁場の周波数依存性を10-250Hzの範囲において調べたところ、25Hzにおいて最も大きな増強効果が観測され、周波数に依存することも明らかとなった。
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