研究概要 |
高強度鉄筋とコンクリートを使用した鉄筋コンクリート造カンティレバ-型の試験体(断面35cm×35cm)を用い,二方向同時(円形パス)の静的載荷を行い,二方向載荷時の横補強筋の効果,材料強度の違いによる変形性能を調べた。試験体は,一体打ちの鉄筋コンクリート柱(2体)と外殻に横補強筋を埋め込んだプレキャストコンクリートを使用して内部にコンクリートを充填した鉄筋コンクリート柱(2体)の2種類である。試験体に使用したコンクリート強度は,外殻プレキャストコンクリートが800kg/cm^2,充填及び一体打ちコンクリートが600kg/cm^2である。柱の主筋は12-D19(p_g=2.8%)で,降伏強度は6,222kg/cm^2である。横補強筋はRB7.1を使用し,降伏強度は14,368kg/cm^2である。横補強筋形状は各構造体共通で,一筆書きの囲型(p_w=0.57%)とスパイラルの口型(p_w=0.27%)を1体づつ使用した。試験体の軸方向荷重は,充填コンクリート強度の40%(294ton)を目標とした一定軸方向力である。平成7年度に行った実験とともに、その結果をまとめると以下のようである。 1.高強度鉄筋コンクリート柱の変形性能は,主筋の破断によって決まる。特に,二軸載荷では,横補強筋が少ないほど変形性能が劣る。 2.一軸載荷と二軸載荷との耐力差はみられないが,二軸載荷の方が一軸載荷より小さい部材角で主筋が破断する。また,柱脚部の中心圧縮歪は,一軸載荷より二軸載荷の方が小さい部材角から急激に増加する。これは,二軸載荷の方が一軸載荷より損傷が大きい事である。 3.変形能力は,鉄筋コンクリート柱の方が外殻プレキャスト鉄筋コンクリート柱より優れている。
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