研究課題/領域番号 |
07459001
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 元美 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (50261227)
|
研究分担者 |
日比谷 紀之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80192714)
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
安田 一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80270792)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
キーワード | 深層水形成 / 海洋中規模現象 / 海氷海洋相互作用 / 海氷海洋結合モデル |
研究概要 |
全地球的な気候変動において、変動の時間スケールが長くなればなるほど、海洋の果たす役割りは増す。特にグリーンランド海で形成される深層水は、全海洋の循環、すなわちコンベアベルトの源になっており、気候変動にもっとも大きな影響を与えている。グリーンランド海には北極海から海氷を含んだ低塩分水が流れ込む。低塩分水が表層を覆っている場合は、冷却されてもその密度は下層の高塩分水より大きくなれない。しかし冷却が非常に強くなると海氷が生成され、それに伴って高塩分水がはきだされるので、下層より密度が大きくなることが可能になる。このように、淡水と塩分が深層水形成の重要なパラメータであることがわかる。いっぽう鉛直混合が起こる海洋は水平方向に一様ではなく、10kmから100kmのスケールをもつ中規模現象が存在している。それに伴って鉛直成層の強弱分布ができ、成層の弱い部分で鉛直混合が起きやすくなっている。高密度水は陸棚上でも海氷生成に伴って形成される。陸棚で形成された高密度水は陸棚斜面に沿って沈降する。 本研究においてとられた手法は、海氷海洋結合モデルを構築し、その中で海氷生成に伴う高密度水の形成と分布を再現することであり、次に鉛直混合、中規模現象、陸棚上の高密度水形成、内部重力波などのプロセスを解明するモデルを用いたプロセス研究であった。結合モデルはラブラドル海とオホーツク海に応用された。両方の場合とも海氷の季節変化を再現することができ、それとともに陸棚上に高密度水が形成された。非静水圧モデルを用いて、海氷下での鉛直混合プロセスを調べたが、開氷面の大きさ、分布、運動によって、高密度水の性質が異なることが示された。中規模渦を解像する陸棚モデルを用いて、海流の不安定のために中規模現象が作られ、陸棚と沖での海水混合を支配していること、そしてこの混合によって陸棚上の高密度水が広がっていくことを示した。鉛直高解像度モデルを用いて、内部重力波が海洋の混合に重要である可能性を示した。これらの研究成果は、深層水形成に関わる重要なプロセスを解き明かし、これからの海洋モデルを用いた気候変動予測に資することができた。
|