研究分担者 |
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
森田 展彰 筑波大学, 社会医学系, 講師 (10251068)
佐藤 親次 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (90162437)
土本 武司 筑波大学, 社会学系, 教授 (30207401)
山上 晧 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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研究概要 |
1、前年度までに追加された精神状態鑑定書のデータベースの項目のうち、心理テストの結果に注目した。昭和55年から平成7年までの計89件の被鑑定者の法務省式人格目録(MJPI)の信頼性尺度項目を分析した結果、虚構(Li)、偏向(De)、自我防衛(Ed)の各項目のTスコアに、反社会性人格障害者や、特に供述の変遷する・事実と異なる供述を行う精神遅滞の鑑定例で、特徴的な分布が見られた(第33回日本犯罪学会口演発表)。今後は言語学的手法を併用し、各事例での供述の信憑性の判定を試みる。 2、前年度から今年度にかけて作成した、パーソナルコンピュータにより、ミネソタ多面的人格目録(MMPI)の短縮版であるMINIの反応時間を、各項目の得点と共に測定する装置を用いて、健常対象22名に対して、精神分裂病についての一定の知識を学習させた後に精神分裂病を装っている場面をシュミレートさせた場合と、通常の場合の2回施行し、その得点と反応時間の差を検討した。得点プロファイルでは、詐病時のプロファイルをみると、F,Pa,Scの尺度で標準得点で70点以上を示し、精神分裂病患者の一部のプロファイルと一致するが、F尺度の標準得点は、100点以上と顕著に高く、詐病と判断できる可能性があるという結果が得られた。反応時間では、L,F,Hs,Hy,Mfの項目で反応時間に有意差が見られ、かえってScやPaといった精神分裂病を示唆する項目では反応時間に差は見られないという特徴的な結果が得られ、今後詐病検出の有望な指標となることが予測された。今後は実際に精神分裂病に罹患している対象や、詐病が疑われる精神鑑定例に同様の検査を施行し、その有用性をさらに検討する予定である。
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