研究課題/領域番号 |
07459006
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石川 詔雄 筑波大学, 臨床医学系/助教授 (50134226)
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研究分担者 |
田島 啓一 筑波大学, 臨床医学系, 助手 (40251061)
田中 栄之介 筑波大学, 社会医学系, 講師 (30138416)
名古屋 俊士 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90189176)
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キーワード | 手術 / 手術機器 / 粉じん / 組織片 / 粉じん曝露 / 2次感染 / 手術用マスク / 手術衣 |
研究概要 |
本研究の目的は、組織を粉砕・切離する手術器械の使用中に飛散する血液や骨・組織片に由来する粉じんの発生状況と拡散状況を明らかにする事にある。 1.手術室内の粉じん濃度の測定:まず各手術室内の粉じん濃度を測定した。粉じんの質量濃度は、6-20×10^<-3>mg/m^3、相対濃度は、10-14cpmであり、その粒径は、0.6-1.0μmに分布していた。さらに手術室内のエア-フィルターにたまった塵埃の形態観察によると手術用の綿や不織布などの繊維と術中に発生したと思われる骨片も観察された。即ち、手術室は粉じんの少ない清浄環境にあるが、患者の組織に由来した粉じんが発生している事が明らかとなった。 2.手術機器使用中の手術野における粉じん濃度:電気メスの凝固処理では粉じん濃度も900から1700cpmと極めて高い。エア-ドリルやCUSA使用時の粉じん濃度は約50cpmであり、その粒径も3μm以下であった。またCUSAやエア-ドリルの操作中に発生する粉じんは、電気メスで発生する焼灼された粉じんではなく、なまの組織に由来しており、粒径も小さく、容易に呼吸により肺胞まで到達可能と思われる。そのためこれらの機器を使用している手術野で作業する医師や看護婦は、粉じん曝露による二次感染の危険も考えられる。 3.手術用マスクの防じん性について:日常用いている各種手術用マスクの防じん性は、使用後10分以内にすでに使用直後の約半分以下に低下しており、手術中の粉じん曝露の危険が考えられる。 4.綿・不織布性手術衣の発じん性について:不織布性の術衣は綿性術衣に比較して粉じん濃度は、約1/3と低値であるが手術室内の粉じんの多くはこれらの繊維に由来していることが明らかとなった。 以上、手術室内は清浄環境にあるが、手術野では手術操作で発生した粉じんの暴露による感染の危険も考えられる。目下、詳細な研究を続行中である。
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