研究課題/領域番号 |
07459010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
民谷 栄一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (60179893)
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研究分担者 |
阪口 利文 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10272999)
村上 裕二 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (70272995)
横山 憲二 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (80242121)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | プロテアーゼ / 酸化還元酵素 / 低温活性酵素 / 低温微生物 / バイオセンサー / グルタミン酸デヒドロゲナーゼ |
研究概要 |
まず、低温活性を有するプロテアーゼのスクリーニングを行った。そこで、低温度で効率よく蛋白質分解活性を有する酵素を生産する菌を広く自然界から検索した結果、低温微生物Flavobacterium balustinum P104が菌体外に分泌する低温活性プロテアーゼを見い出した。この微生物は、サケの内臓から単離されたもので、これを、10℃で通気攪拌培養し、培地中に分泌されたプロテアーゼを硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過などにより精製した。精製した酵素をSDS-PAGEにより確認したところ、単一バンドに精製されており、分子量は約70kDaであった。この酵素の最適反応温度は40℃であり、市販の常温菌由来の酵素に比べて約20℃も低く、低温活性酵素であることが示唆された。この酵素の温度安定性は常温菌の酵素に比べて低く、50℃、10分間の処理により完全に活性を失い、低温菌の温度不安定性の特性を示していた。至適作用pHは8.0であり、pH6.5-10.0の範囲で安定であった。また、この酵素は、Phenyl methanesulphonyl fluorideにより著しく酵素活性が阻害されたことから、本酵素はセリンプロテアーゼであることが示唆された。さらに、本酵素のN末端アミノ酸配列を調べたところ、既知のプロテアーゼのアミノ酸配列と相同性がなく、新規なプロテアーゼであることが示された。 次に、寒冷生物であるサケ・カニの内臓から肉汁寒天培地・10℃で低温細菌を単離した。この低温細菌の中で、最もL-グルタミン酸酸化活性の高いL101菌株を選択した。この菌株は、15℃で最適増殖を示す低温細菌であり、グラム陰性・桿菌・極鞭毛を持ち、シトクロムcオキシダーゼ・カタラーゼ・菌体外プロテアーゼなどを持ち、Vibrio選択培地上で増殖しなかった。陰イオン交換クロマトグラフィーから低塩濃度で溶出される酵素をさらに、硫安塩析・ゲル濾過クロマトグラフィー・陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose)・疎水性相互作用クロマトグラフィーなどを用いて精製を行った。精製した酵素は、NADやNADPや酸素と反応せず、酸化還元色素であるニトロブルーテトラゾリウムやシトクロムc を電子受容体とする新規のL-グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLDH)であった。また、牛肝臓由来のNAD依存性のGLDHと比較して、最適温度域が低温側にあり、5℃においても最大活性(50℃)の40%の活性を残存しており、活性化エネルギーもほぼ半分の値を示した。さらに、フェロセン誘導体を電子メディエータとして、サイクリックボルタンメトリーにより酵素のキャタリティック電流も確認できた。すでにキャタリティック電流の基質濃度依存性なども調査しており、これらを用いてバイオセンサーを構築するための基礎資料を得ることができた。
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