(1)石灰岩地帯の洞穴等における発掘調査・分布調査 岡山県新見市足見NT洞穴の発掘調査では、昨年の発掘停止面からさらに1m掘り下げ、地表からの深さが約3mに達し、化石包含層全体の厚さは計約4・5mとなった。シカ・イノシシ・小型哺乳動物など更新世中期に属する多数の哺乳動物化石が引き続き出土し、包含層はさらに下層へ続く見込みである。 (2)水成堆積層化石産出地の踏査および化石調査 1982年に発掘を行った大分県代ノ原について化石の再調査を行い、臼歯及び切歯の検討からM3段階の老獣であることが判明した。周辺の地質および年代測定についても再検討を行い、現在論文を作成中である。石器に骨片が共伴した希少遺跡が北海道にあり、今回日東遺跡・白滝33遺跡・広郷遺跡を踏査し、現地がそのまま残されていることを確認した。未報告である宮崎県西都市都於郡のナウマンゾウ化石は、現地調査の結果1個体資料であることが判明した。大分県姫島の踏査でも、未報告のナウマンゾウ1個体資料の存在を確認するとともに、古型マムサスの臼歯が採集されていることを知った。 なお本研究については、フランスの先史民族学研究所および中国の古脊椎動物与古人類研究所においてレヴュ-を受けた。
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