石炭岩地帯の洞穴等における発掘調査・分布調査 岡山県新見市足見NT洞窟と同市コウモリ穴洞窟において発掘調査を実施した。足見NT洞窟は径1m余りの細い縦穴であり、これまでの調査で計4.5mを掘り下げた。堆積物は無層理の泥層で、掘り下げた堆積物のほぼ全体から大型のイノシシおよび大型・中型のシカを主とする膨大な量の哺乳動物化石が出土した。これら動物群は更新世中期にさかのぼる特徴を示し、石灰岩洞窟出土としては最古の部類に属する化石の産状を詳細に確認できた意義は大きい。コウモリ穴洞窟では、なお地形測量と一部の試掘にとどまっている。 水成堆積層化石産出地の踏査および化石調査 長崎県壱岐郡芦辺町の幡鉾川河床においてゾウ化石を調査した。ナウマンゾウの臼歯や体部の骨片が固い砂礫層(幡鉾川層)上部に埋没しており、同層準にはラミナ状の火山灰と木片がみられた。木片の放射性炭素年代は約4万年前であった。ゾウ骨片が数百メートル範囲に分散した状況を示し、タフォノミー研究に貴重な事例を加えることができた。その他、大分県姫島のステゴドンゾウ・古型マムサス・ナウマンゾウ化石、宮崎県都於郡のナウマンゾウ化石、静岡県佐浜のナウマンゾウ化石などの産出地をそれぞれ踏査し、また北海道で骨片を出土した旧石器時代遺跡の現状を調査した。
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