研究課題/領域番号 |
07459017
|
研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
中島 祥好 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90127267)
|
研究分担者 |
杉田 陽一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (40221311)
津村 尚志 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (20038962)
|
キーワード | 時間知覚 / 時間縮小錯覚 / 処理時間仮説 / 空隙転移錯覚 / 音事象構築モデル / ゲシタルト原理 / リズム / 聴覚コミュニケーション |
研究概要 |
本研究は、「時間パターンの知覚」に関するものであり、特に、話し言葉や音楽において重要な、50〜500ms程度の時間長に注目するものである。三つの短音が継時的に呈示され、隣接する二つの空虚時間N.Sを区切るとき、先行するNが300msよりも短く、SがNよりも数十ミリセカンド程度長ければ、Sが著しく過小評価される場合がある。この「時間縮小錯覚」と呼ばれる現象について、先行時間の数を二つ以上にしたり、区切り音を100ms以上に伸ばしたりすることにより、検討を加えた。その結果、音の始まりから次の音の始まりまでの主観的な時間長は、その物理的な時間長に、二つめの音の始まりが検出された後に要する処理時間を加えたものに比例すると言う「処理時間仮説」を強く支持することができた。もう一つの研究材料として、時間一対数周波数の座標上において、500ms程度のグライド音と2000msを超えるグライド音とが交差する際に、長いほうのグライド音に100ms程度の時間的空隙を設けると、条件によっては、この空隙が短いほうのグライド音に乗り移ったかのような知覚が生ずる、と言う「空隙転移錯覚」を取りあげた。これまでは、被験者の現象報告のみによって研究を進めてきたが、本研究においては、定量的なデータを得るためのいくつかの方法を考案し、錯覚現象そのものを確立した。さらに、グライド音の長さを変化させたり、刺激パターン全体の時間包絡に操作を加えたりすることにより、錯覚の生ずる仕組みについて考察した。その際、「音の始まり」と「音の終わり」とが、それぞれ独立の事象であるかのようにふるまい、時間的に近接している場合には、物理的に結びついていなくても、知覚の上で結びついて、物理的な音には対応しない「音事象」を構成する、と言う「音事象構築モデル」を提出した。
|