研究課題/領域番号 |
07459020
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
矢尾板 英夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (00010249)
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研究分担者 |
山根 康弘 自治医科大学, 医学部, 助手 (70220431)
村田 哲 自治医科大学, 医学部, 助手 (70254919)
出光 俊郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (20237027)
鈴木 正之 自治医科大学, 医学部, 講師 (40171251)
片山 洋 自治医科大学, 医学部, 講師 (50142401)
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キーワード | bullous diseases / auto immune / IgG subclass / conplements / signal transduction / adhesion molecules / cytoskeleton / cell to stroma interaction |
研究概要 |
我々は水泡症をモデルとして研究することによって皮膚の生物学的構造・機能、また皮膚特有の病態、免疫を知りこれを他臓器疾患にも応用できるように考えてきた。 今年度は抗原抗体反応によるsignal transduction研究で、天疱瘡ばかりでなく類天疱瘡でも、膜面における抗原抗体反応がシグナルをケラチノサイト内へ送り、ケラチノサイト間、或いはケラチノサイトstroma接着を離開している可能性を示すと考えられる所見を得た(1995日本・オーストリア皮膚科学会、1995 Epithelial Cell Biol., 1996 Autoimmunity)また、IgG subclassの機能については患者BP抗体中IgG_1のみが補体を活性化させること(1992 Acto Dermat Venereol) IgG subclassは各々異なるBp抗原epitopeと反応する可能性を秘めているが、患者個体の反応性の違いもあり、臨床の形態、重症度、経過、治癒のメカニズム、更に新しい治療との関連を研究する方向へ発展する可能性がある(1994 Autoimmunity)。BP発症に際して基底細胞が破壊するために起こると考えられているものについて抗体結合後のlateral fusionを観察し報告した(1995水泡症研究会)。またこれらのケラチノサイトと接する基底膜成分のうちプロテオグリカンが基底細胞で産生される可能性を示し(1995 J. Invest. Dermatol. )、またLinear IgA bullous disease of childhoodの新しい抗原と思われる物質を報告した(1996 Br. J. Dermatol. )。更に新しいTypeの水泡症と考えられる患者を発見した(1996 Brit. J. Derm. )。水泡症は粘膜疹が出るが、皮膚と粘膜の反応性の違いから、水泡症の発症機構のみならず、全身の免疫に関する情報が得られる可能性がでたので粘膜の構造、反応性の研究を実施した。(1995 ESDR, 1995 日口外会誌)。更に筋ジストロフィーを伴った先天性表皮水泡症では筋ケラチノサイトの共通の遺伝子の探索(1995日韓皮膚科学会)、その他水泡症のInitial Changeを起こす可能性があると考えているヒトMast cellの細胞外接着の研究(1995日本皮膚アレルギー学会)、水泡形成を伴う疾患の原著報告(1995日皮会誌、臨皮、皮臨、自治紀要、皮紀)等多くの成果を上げた。このうち抗原抗体反応とtransmembrane signaling、IgG subclassの精製によるそれぞれの機能、開口部粘膜の機能の研究は世界的にも全く新しい面からの水泡症の研究であり、これが解明されれば多臓器疾患にも応用されるであろう。
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