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1995 年度 実績報告書

酵素触媒による不斉脱炭酸反応に関する有機化学的及び生物化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07459023
研究種目

一般研究(B)

研究機関慶応義塾大学

研究代表者

太田 博道  慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30152151)

キーワード酵素反応 / 不斉脱炭酸反応 / 活性部位特異的阻害剤 / 部位特異的変異 / チオールエステル結合 / システイン
研究概要

我々が発見した二置換マロン酸を不斉脱炭酸する酵素は補因子を全く必要としない非常にユニークな酵素であり、240個のアミノ酸からなる。4個含まれるシステインの内1個が活性部位にあって、反応に重要な役割を担っていることが明らかになっている。今年度は主としてどのシステインがどの様に基質分子を活性化しているか明らかにすることを目的として研究を行った。
先ず活性部位に結合する阻害剤を検索し、α-ブロモフェニル酢酸が有効な阻害剤であることを見出した。この阻害剤と酵素の結合様式をTOF-MS、FT-IR等で検討し、チオールエステルもしくは塩を形成していると結論した。更に阻害剤-酵素の錯体をメルカプトエタノールで処理する等、化学的手法で検証し、両者はチオールエステル結合を形成していると結論した。補因子無しでカルボン酸とチオールがエステル結合を形成する例は初めてであると思われる。この事実から本酵素は基質とも同様の結合で錯体を形成し、チオールエステル結合の電子求引効果で負電荷を有する遷移状態を安定化していると推定される。
どのシステインが活性部位に存在するかという問題については、部位特異的変異によりいずれか一つのシステインをセリンの変えた変異酵素を4種類作り、その活性を調べることによりアプローチした。変異酵素の作成はKunkel法によった。4種の変異酵素の活性を定量的に調べた結果、N端から188番目のものを変えた変異酵素の活性が3種に比べて極端に低いことが明らかとなった。これが酵素活性に直接関与している可能性が非常に高い。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 太田博道: "Direct Observation of Thiol Ester Formation between an Enzyme and an Active Site Directed Inhibitor by FT-IR" Chemistry Letters. 195-196 (1996)

  • [文献書誌] 太田博道: "A Nobel Enzymatic Decarboxylation Proceeds via a Thiol Ester Intermediate" Bull. Chem. Soc. Jpn.68. 2017-2020 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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