平成7年度にほぼ開発を終えた「微分方程式とその応用に関する教材」を用いて、本研究の後半の目的である「開発された教材を用いて実際に教育を行ってその効果を見る実験」を行った。われわれの開発した教材は、単に教授者側から与えられた事柄だけを学習するのではなく、いろいろな場合について学習者が自ら考え、法則性を発見し、さらに発展させるというような新しい学習法に適しているものであって、それがどれほどの効果を上げるかを見るのが目的であったが、それは成功し、目的はほぼ達成されたと考えられる。 具体的には、数式処理、数値計算、グラフィックスを統合した優秀な統合ソフトウェアのうち、現在及び近い将来において開発され、または、開発中のものを含めて、最も強力で使いやすいと思われるMathematicaを用いて開発された、従来の微分方程式の書物とは異なったアプローチによる教材を用いて教室内外で教育を行い、教育効果を見て、将来の数学教育のありかたを教育実験によって示した。しかも、微分方程式にとどまらず、高校レベルでもできるが、実は深遠な内容をもつような題材も選んで、学生に提示し、競い合って法則性を発見し、出来れば証明を考え、また、一見成り立ちそうな性質も、もっとよく調べると成り立たない場合があることを発見する、それを反例で具体的に示すというようなことを行わせた。 それは見事に成功した。その成果は別紙報告書(様式12)にあるような書物の抜粋、及び、発表された論文などから明らかに分かるものである。
|