多種の漢字がパーソナルコンピュータの環境で使えるように、応用ソフトウエアの開発を行った。しかし漢字をインターネットとくにウエッブ(WWW)上で表示、転送、検索する必要が生じたので、その実用化を図り、アジア研究のための機関間における歴史的文献情報の共有の実現と、それらの情報を利用するための環境の整備の要請に応えた。とくに国際的共同利用の時代を迎えて、今後さまざまな新たな問題の出現が予想されるなかで、本研究ではとくにテキストデータベース利用のための漢字まわりの整備を行った。それは本研究代表者が丹羽正之と平成6年に著した漢字典(5万7415字、解題48頁、本文1890頁、索引830頁)を拡充し、JIS、ユニコード、GB、CNS、KSといった各国あるいは国際標準に加えて、音、訓等諸種の漢字属性を付して、電子漢字としてウエッブ利用形式で公開するものである。すでに一部は公開して実用に供しているが、今後さらにソフト面での充実を期すと共に、ハード面においても管理・運用が国際的に可能な機構の整備計画をより具体的な形で提案したいと考えている。またデータベースを共有するという観点から、日本、中国、台湾がそれぞれ常用漢字や簡体字や繁体字を使用している現状を、ソフトウェア的に共有化する方策を考えた。それは文字を統合する方式と、データベースとしてはプレーンな形態で提供して、利用者が、ソフトウェアを介して、各種のコード系によって表示し、検纂できる方式で、CD-ROMだけでなく、インターネット上でもその環境を構築しようとしている。そしてすでに河野典、山口真由美の協力によって東洋学文献類目データベース約30万タイトル分を1枚のCD-ROMに収めて資料整理を終え、さらに一歩進めて、東アジア研究者の夢であった漢字統合環境実現のための初期段階の実現を成功させている。
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