研究概要 |
本研究の目的は,無潤滑大気圧下および10^<-5>Pa程度の高真空中で運転可能な歯車試験機を開発し,これを用いて表面改質を施した歯車について,これらの歯面損傷との関連において表面強さおよび動的性能評価を明かにするとともにトライボメカニクスおよび材料工学的解析を実際の機械要素である歯車に適用せんとするものである.平成7年度においては真空用歯車試験機の開発および表面改質歯車の設計を行い,さらに,これらのための二円筒試験機などを用いた予備実験を行った.設計を終了し,製作をほぼ完了した真空歯車試験機の目標性能は,(1)試験機停止状態での真空度:10^<-5>Pa,(2)最高回転速度:2000rpm,(3)最大伝達トルク:30N・m,(4)試験可能歯車モジュール:2〜5mmである.一方,表面改質歯車の設計に関しては,無電解Ni-P合金めっき,Snめっき熱拡散処理,浸硫処理およびセラミックス被覆などの表面改質を施したローラを用いた二円筒試験による予備実験を実施し,それぞれの表面改質法における真空中,無潤滑での摩擦・摩耗特性を調べ,また,同様の表面改質を行った試験片による常温無潤滑および油潤滑の二円筒試験,ならびに常温および高温でのピンオンディスク試験を実施し,常温,油潤滑および高温条件下の摩擦・摩耗特性と真空下での特性の比較検討を行い,基礎的なデータの蓄積を行った.また,二円筒試験と異なって曲げと面圧応力を受ける歯車に対して,どの表面改質法が最適であるかの検討を行い,平成8年度以降に実施する表面改質歯車試験に用いる供試歯車の表面改質法の確定,被覆厚さの確定などを行った.さらに,試験機の運転性能試験を行い,試験機の改善および試験結果の検討を行うとともに,表面改質歯車歯面接触状態の基礎的解析,検討を行った.
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