本研究は、III族窒化物を用いて二次元のみならず、一次元または零次元など低次元構造を作製する事により極限の性能を引き出し、その量子的基礎物性を評価すると共に、短波長発受光極限、高温動作極限、高速動作極限など、III族窒化物半導体の極限を極め、また、それを各種デバイスに応用し、極限機能半導体デバイスを試作する事を目的とした。以下各項目事に得られた成果を纏める。 (1)二次元量子井戸とそれを活性層に持つIII族窒化物レーザーダイオード 1.高精度X線回折及び顕微PLにより、1分子層よりはるかに少ない層厚揺らぎ及び組成不均一1%以内の高品質GaInN/GaN二次元量子井戸構造を作製した。 2.圧電効果による内部量子閉じ込めシュタルク効果を検証した。 3.最短波長半導体レーザーダイオードを試作した。 4.FIB加工共振器端面をもつ紫色レーザーダイオードを試作した。 (2)ダブルヘテロ構造を利用した波長選択型紫外線検出器 AlGaN/GaN及びGaInN/GaN構造フォトダイオードを試作し、設計値通りの波長選択性を得た。 (3)二次元電子ガスを用いたマイクロ波増幅器 AlGaN/GaN界面での二次元電子ガスを用いた電界効果トランジスタを試作し、最大発振周波数77GHzを記録した。
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