研究分担者 |
王 鎮 郵政省通信総合研究所, 超伝導研究室, 研究員
藤巻 朗 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20183931)
井上 真澄 名古屋大学, 工学部, 講師 (00203258)
WANG Zhen Communication Research Laboratory, Superconducting Radio Physics Section, Resear
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研究概要 |
バイクリスタル基板上に作製されたBa_<1-x>K_<x1>BiO_3(BKBO)粒界接合はSIS(超伝導体-絶縁体-超伝導体)構造を持つジョセフソントンネル接合となる。その応用として,金属超伝導体よりり超伝導ギャップエネルギーの大きいことを利用した,従来より高い周波数にも対応可能な超高周波電磁波用の高感度検出器が考えられる。本研究は,BKBO粒界トンネル接合を用いた超高周波電磁波検出用SISミキサ-の開発を目的とし,基板の低誘電率化,接合特性の改善,接合の集積技術の開発(高周波回路)に関する研究を行った。 1.低誘電率基板上への薄膜成長技術の確率 : 高周波応用に必要な低誘電率基板上への薄膜成長技術の確立を目指してMgO(比誘電率10)基板上への製膜技術の研究を行った。高誘電率基板であるSrTiO_3(STO)基板に比べてMgO基板上に良質のBKBO薄膜を成長させるのは難しいため,基板処理,バッファ層の使用などを検討した。基板処理については,スパッタリング装置内で製膜前にin-situで行う基盤の熱処理が有効であることを見い出し,STO基板上のものとほとんど同じ特性の薄膜を得ることができた。また,バッファ層として最初に高基板温度で短時間BKBOを成長させた後,通常の成長温度で製膜することにより(100)MgO基板上に(100)配向の結晶性の良いBKBO薄膜が得られた。 2.接合特性の検討 : STO基板上の接合の特性を検討した。接合の障壁中の電磁波速度は他の材料による接合の値よりも1桁程度小さいことから,基板の誘電率の影響が示唆され,低誘電率基板の必要性が確認された。 3.高周波回路の検討 : 超高周波検出器応用の基礎実験を行うための電磁波回路について接合のほかアンテナ等の構成要素の設計も含めて検討を行った。
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